2009/06/22 備忘録2008/試合結果

 2009シーズンの前半戦が昨日終了しました。春季静岡県リーグでは全勝対決で迎えた常葉学園大学戦。72vs84(17-31、16-22、24-16、15-15)で負け準優勝という結果でした。
 また、日曜日に行われた会長杯では、掛川クラブに90対30で勝ち進むものの、前年度チャンピョンのFreeクラブに83対91で惜敗しました。
  東海リーグまで残り2ヶ月。ご声援賜ります様、よろしくお願いいたします。
  尚、男子部の結果、および女子部のフィードバックは今週中にアップ予定です。


 毎年、ホームページを通じて備忘録なるものを書き、自分自身の記憶(記録)として思いを残している。が、昨年度は多忙のためこの備忘録を書き留めていなかった。前半戦を終了したこの日、少し遅めの備忘録ではあるが、昨シーズンを振り返り現況の思いを残したい。
 なお、ある一部の視聴者との齟齬や誤解を招かぬよう注意事項を記す。
 以下の内容は女子と男子の優劣を論じているのではなく、社会心理学、哲学、教育工学、脳科学、また生物進化学やなど様々な視点より、バスケ部をはじめ、授業やクリニック、他大学・他高校との交流を含めた経験則上から性差のスポーツ指導の違いを考察していることをお断りしておく。またホームページ管理者として、画一的なホームページを作成することを目的としておらず、記載事項に関してはホームページ管理者の権限として掲載していることを述べておく。そして、参考文献・参考サイトなどを文末に記す。

●今までの備忘録
 備忘録:東海リーグ(女子2部)を振り返って(2006/10/30)
 備忘録:一通のメール(2007/10/01) 

 一般的にバスケットボールにおける技術論や練習方法、また戦略・戦術的な側面からの分析による研究論文や書籍は多々見受けられるが、その中で性別に焦点をあてた研究文献や書籍はごく僅かである。
 一方、「女子の指導者は…(もしくは、男子の指導者は…)」「男子よりも女子は…(もしくは、女子よりも男子は…)」「女子は男子と違って…(もしくは、男子は女子と違って)」など多くの人からよく耳にする。
 時は経つのは早いものではや1年。昨年はこの性差に疑問と関心を抱き、考え続けたシーズンであり、今後忘れることのない時といっても過言ではないだろう。
 大学で男子部員を5年、女子部員を4年指導し今年で10年目となる。「仮説は立証して初めて真実となる」のだが、経験則上、女子と男子の指導方法には対極的な違いがある。「コーチ経験が浅く未熟で、女心(もちろん、男心も)が分かっていない」と言えばそれまでである。が、ぜひ探求したい領域である。差を理解(もしくは研究)することにより、より良い指導やアプローチの方法を確立できると確信している。

 さて、今、流行の脳科学。先日、あるドラマに嵌っているという話を聞いた。このドラマは脳科学を題材とした内容で世間の注目を浴びている様子であるが、現実はドラマほど明瞭なデータを得ることは難しいであろう。しかし最新の研究から、男子と女子では脳が情報を処理するプロセスに違いがあることが分かっている。
 脳の中で分泌される化学物質の違いは、女子と男子の指導のあり方に違いをもたらすと考える。脳化学物質の中にセロトニンと呼ばれるものがあるが、このセロトニンは興奮を鎮める働きがある。男子は女子よりもセロトニンが少ないため、衝動的な行動に走りやすい。男は力で対抗しようとするが、女子は言葉で状況を逃れようとする。たしかに、新たな練習メニューを組んだ時、男子は実践を直ぐに試みる傾向にあるが、男子に比べ女子は、理解させるために言語コミュニケーションを多くとる必要がある傾向にあり、納得するまで行動に移る時間が長い。しかし理解・納得したと同時により正確に忠実に動き継続する傾向にある。恋愛心理行動も同様のことが伺える。
 次に記憶をつかさどる脳の海馬は女性の方が男性よりも大きいことが判明している。また海馬と脳の情報中枢の接続も、女子がたくさん持っており、それゆえ女子は男性よりも多くことを記憶している。経験則上、「数年前の練習や戦術」「選手起用の順番」や「戦略上の失敗」、「個人に科せられたペナルティーや罰」を男子よりもこと細かく覚えており、昔の記憶を情報源にコーチ陣とコミュニケーションをとることが多いと考える。「記念日を忘れる男性…」「昔の発言を覚えている女性…」など、恋愛心理でも同じことが当てはまると言えるが。
 また生理学的な側面から、テストロテンというホルモン物質を無視することはできない。このテストロテンは、男脳の形成を大きく左右しており、脳梁の太さや右脳の空間能力、また攻撃性をはじめとするいくつもの特徴を決めるホルモンである。テストロテンが少ない女脳は、非空間的な脳となっている。いわば男子は立体を把握するのが得意ということである。経験則上であるが、ボールラインにディフェンスがいるのにも関わらずパスを投げてターンオーバーになるのは男子に比べ女子の方が多く、またディフェンス越しにパスをするのは苦手と感じる。この事に関してはあくまで仮説段階で、もちろん立証するためには実験などにより証明する必要があるのは言うまでもない。(ある先輩との話によると、一般にシュートが上手いのは女性と言われているが、この場合は立体脳なのか否か?という指摘があったが、まさに的を得た批判である)
 そして、生物学的観点から考察すると、生き物は種を保存するという生物特性上、より良き遺伝子を求め行動する。人間も生物の一つの要素として属しており、個々の趣向や差はあるが、根本原理として賢く、美しく、強い遺伝子を潜在意識の中で求めているのではないか。自然界では生物は強い子孫を未来に残そうとするため、サルやライオンなどは強い雄が群のボスとなる。そして次なるリーダーを選ぶ際、雌の群は次なるリーダーの雄の戦いを冷静に見守っている。つまり、雌は今後自分の遺伝子が生き抜くために、強い雄の遺伝子を冷静に分析し判断しているという訳だ。人間と動物とは様々な進化の過程において大きな違いがあるとは当然である。が、選手達と過去の話をしていると、男子は自分が受けた厳しい練習や辛かったメニューを面白おかしく武勇伝として話すのに対し、女子は昔の恩師・指導者と対比しながら、辛い中にも良き思い出を重要視し(もしくは軽視することもあるであろう)、現在の指導者と比較し話す傾向にある。色彩理論(Lee, 1977)による分類で女性がプラグマ的な恋愛傾向にあるのも理解できる。
 最後に教育工学的な立場から考察しよう。アメリカでは今、男女別クラスを導入する学校が増加している。「男女の違いを意識することが、子どもたちの学力を伸ばす手助けになる」ということである。その中で、「男子は競い合いながら学ばせると、勉強に対するやる気が増す」のに対し、「女子クラスでは全く違い、互いに競い合わせるようなやり方はとらない。どちらかというと、仲間と共同で考えさせる授業が多い」ということである。図書によると、今から数百年前の人間の祖先、アフリカの大地で暮らしていたころの遠い昔の進化論と関係しているということであるが、コーチの圧力や注意、恐怖心などがない場合、1対1などの個人の勝ち負けがハッキリしているメニューに対して男子よりも女子は避ける傾向にある。また、コーチからの指導による圧力がない場合、女子の勝者は敗者に対して優しく接し、あたかもその勝負がなかったかのような状態となる。昔ながらの精神論でよく言う、「勝負に勝つために女を捨てろ」とあるが、「勝負を成立させるために脳の考え方を変えろ」というのが正しいのかもしれない。少し議論はそれるが、女子部員の茶髪の議論は、日本スポーツ界でとかく聞く話である。個人的に茶髪とプレーの相関関係はないと考える(当たり前である)。が、茶髪に変えることにより女性的な脳が活発化するのであれば、プレーに影響する可能性は残されている。
 以上、ここでは書ききれない数多くのあらゆる分野において、女子と男子の性差が存在しているのである。差がある以上、その違いを理解しておくのは必要であるのは当然のことである。
 では、最適なアプローチとは如何なるものであろう。世界中の多くの人があらゆる分野において、その方法を独自に考え確立していることだろう。しかし、無知な私にとってはまだまだ未知の世界であり、とても興味深く探求したい研究テーマである。
 「本当の心理とは何なのか」行動・思考・存在の領域から自我を捨て、今後も考察していきたい。

参考文献

  1. ここまで解明された最新の脳科学 脳のしくみ、株式会社ニュートンプレス、
  2. だから、男と女はすれ違う 最新科学が解き明かす「性」の謎〜、奥村康一、水野重理、高間大介、ダイヤモンド社、
  3. なぜ男と女は4年で嫌になるのか、姫野友美、幻冬舎
  4. 愛するということ、エーリッヒ・フロム、紀伊国屋書店
  5. 男と女の心理学、渋谷昌三、西東社
  6. プラトン 哲学とは何か、納富信留、NHK出版
  7. フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』性別、
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%80%A7%E5%88%A5