ホットニュース

2005/10/10

いろんな意味で王蜂は王蜂！羊達が惜敗

　【敗因には色々な要素があるが、次回にそれを生かす必要がある】　第76回東海学生バスケットボールリーグ戦(男子1部／2巡目)、王蜂：愛知学泉大学と対戦した羊達は1巡目と打って変わった試合を繰り広げたが、70対77で惜敗という結果に終わった。
　試合内容は東海学生バスケットボール連盟の方々が夜遅くまで頑張ってアップして頂いているので、そちらを閲覧して欲しい。今回は、試合内容もさることながら、いつもの如くスタッツによる試合分析したい。

　⇒浜松大学のスタッツを確認する！そして今後に生かす！
　⇒愛知学泉大学のスタッツを確認する！そして今後に絶対に生かす！
　⇒ボール所有の評価で両チームを比較する！そして今後に絶対に絶対に生かす！
●敗因要素：その１　～　ファール数
　日本国憲法第１４条第１項によると『すべて国民(選手)は、法(ルール)の下で平等である』。この数値をまず確認したい。愛知学泉大学のファール数が12に対し、浜松大学のファール数は28。まさに倍以上のファール数である。しかも、内訳を考えると、

第1クオーター：浜松大→９ファール(合計9)／学泉大→３ファール(合計3)
第2クオーター：浜松大→６ファール(合計15)／学泉大→３ファール(合計6)
第3クオーター：浜松大→５ファール(合計20)／学泉大→２ファール(合計8)
第4クオーター：浜松大→８ファール(合計28)／学泉大→5ファール(合計13)

という結果でだ。これほどイージーに得点を決められれば、波に乗れるはずもない。
　実に、浜松大学がフリースローで合計4得点に対し、愛知学泉大学はフリースローで24点もの簡単な得点をあげている計算だ。差はなんと20点・・・。20点・・・。20点・・・。数値だけを考えると、愛知学泉大にディフェンスがいない第5クオーターがある計算となる。フリースローはもっともイージーにプレッシャーなく得点を追加できるシューティングである。
日本国憲法第１４条第１項：『すべて国民(選手)は、法(ルール)の下で平等である』 大原則の下、国家(試合)は成立する。

●敗因要素：その２　～　不可能なヘルプ
　【得点を決められれば、その分決めなおせばよい】→愚の骨頂である。岐阜大学第２戦でもコメントしたが、オフェンスとディフェンスにどちらに期待を寄せることができるかというと、全国いや全世界のコーチがディフェンス！と答えるだろう。今日、シュートが入るか否かは誰も知る由がない。どの選手が試合当日に入ることが分かっているコーチがいたら、そのコーチはNBAで何十億円いや何百億もの契約を成立させることができるだろう。コーチが考えることは、様々なチームに対してオフェンス哲学をチーム内で浸透させ、リズム良くそしてノーマークを作り出し、ディフェンスを崩しオフェンスリバウンドに飛び込むことができるような状態を作るかにある。少なからずともディフェンスのプレッシャーがあるショットに対して『オイ！決めろ！』というのは酷な話であるかもしれない(フリースローは別である)。
　しかし、ディフェンス(私はこれに付け加えてリバウンドへの参加も入れたい)は違う。練習で積み重ねたドリルで発揮できる重要な要素である。『ノーミドルを切られてはいけない』とヘッドコーチに言われれば、絶対に切られてはいけないのである。絶対に！『ノーペネトレーション』と言われれば絶対にドライブされてはいけないのである。絶対に！
　さて前置はさておき、今回、愛知学泉大学⑪の庄司選手にマークしていたジョッシュは、第３クオーター残り５分＋第４クオーター最初５分の計１０分間に連続して17得点あげられている。簡単なドライブからのレイアップもあれば、イージーなジャンプショットもある。時には、あまりにも決められすぎるので、ヘルプに行った選手のマークマンにパスをさばかれワイドオープンのショット。リズム良く得点を決められた。
　このパターンは前回のニュースでも話したように、不可能なヘルプパターンである。ディフェンスに期待ができない選手は交代すべきである。バスケットボールはどんなに良い選手で3割～4割しか得点できないのである。10回中3回得点ができるプレーヤーと、10回中7回ディフェンスできるプレーヤー。どちらを選択するかは名言をさける。
　が、ちなみに、この愛知学泉大学⑪庄司選手のこの時間帯のオフェンスは、9回ショットして7本のフィールドゴールと3本のフリースロー：計17得点を決めている。

●敗因要素：その３　～　直らないターンオーバー
　全米で著名なバスケットボールのコーチであるディーン・スミス氏。彼が考案したボール所有の評価システムを私はとても信用を寄せているデータ分析の一つとしている。
　今回、数値のロスボール％は

浜松大学→30.0％(15回のターンオーバーもしくはバイオレーション)
愛知学泉大学→3.4％(3回のターンオーバーもしくはバイオレーション)

ちなみに、ある部員がこの数値について『大きい方が良いんですか？』と質問してきたことがあるが、これはまったく逆で、少ない数値であればあるほど、ボールキープ率が良いのである。
簡単に説明すると

浜松大学　→　30％のロスボール％　→　10回中3回はターンオーバーもしくはバイオレーション
愛知学泉大学　→　3.4％のロスボール％　→　100回中3回はターンオーバーもしくはバイオレーション

である。ちなみに、今回の1回の攻撃に対する得点の期待値は

浜松大学　→　1.40得点
愛知学泉大学　→　0.88得点

と、浜松大学の方が0.5点リードしている。よって上記のターンオーバーから計算すると

浜松大学　→　1.4得点×15回　→　21点の損失
愛知学泉大学　→　0.88得点×3回　→　2.64点の損失

上記で話したように、簡単なフリースローで20点も得点され、ターンオーバーで21点もロスしている浜松大学が勝利をもぎ取るのは、とても困難なことである。
　すなわち、どのような状態であってもターンオーバーを容認することが絶対に許されないことである。スタッフも選手も『この場合のターンオーバーはOKだ』という不適切な表現をするべきではないのである。
　今回のターンオーバーは2通りのパターンだった。
　★まず一つ目は、トップオブザキーで不用意にドリブルを止めた選手に対し、プレッシャーをかける愛知学泉大学。両隣のウィングのポジションプレーヤーもディナイがきつく、ピポットをしてもパスが投げれない。そしてターンオーバー。対策としては絶対に不用意にドリブルする権利を失ってはいけない。ボールをキープし、パスが入るときにボールを止める。
　★残りのターンオーバーは、オールコートのプレスディフェンスである。しかも愛知学泉大学は、とてもユニークなプレッシャーディフェンスで2000年の時から変わっていない(と、私は記憶するが改良が加えられているのであれば容赦願いたい)。
　ボールマンをサイドライン沿いのエリア：トラップエリアに追い込む。ここまではどこのチームも行っているプレスディフェンスなのだが、ダブルチームに行ったプレーヤーがどこまでも追いかけるのである。普通は、フロントコートに入った時点で、自分のマークマンに戻りマンツーマンディフェンスを行うのだが、学泉大のプレスディフェンスは、地の果てまでも追いかける(詳細に言うと、一人がディフェンスのプレッシャーを与え、もう一人の選手が後ろから追いかける状態)。不用意にドリブルを止めると、ダブルチームの嵐である。そのターンオーバーで何度も速攻を許している。良く考えているプレスで、2名の強いディフェンダーに囲まれたプレーヤーは良いパスを投げれるはずもなく、また残りのプレーヤーはゾーン気味に確りとゴール付近を守っている。対角にいる味方にボールを投げようとしても、プレッシャーがきつい為、ループがかかりスティールされる。
　→ゾーンアタックの対策としてはアメリカのフレズノ・ステート大学ヘッドコーチ：ジェリー・ターカニアン氏のゾーンアタックが一番良い方法である。ボールがバックコートに入った瞬間に、残りの全員の選手が上に上がる。ボールマンは、トラップエリアをドリブルしては絶対にいけない。速く力強くミドルゾーンをドリブルしてくる。ミドルゾーンをドリブルしてくるプレーヤーに対しては学泉大は絶対にダブルチームに行かない、というか行くことは不可能である。バックコートには1名。フロントコートに4名で、そのフロントコートのプレーヤーの1名(これは3番のスモールフォワードが好ましい)がフラッシュにあがる。
　ターンオーバーは極刑に値する。しかし、絶対にターンオーバーをしてはいけない！と思っていると、1回や2回してしまう。これが人間であり、スポーツの面白さなのではないだろうか。
★Photo(左上)：チームを盛り上げたブ○イ△：中村優一が活躍するものの、勝利を手にすることはできなかった(映像はランブラーズカップ)