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2004/11/01

予想的中！NBAのような点取りゲームを展開

　試合開始直前、静岡大学体育館教官室で木宮監督と私は次のような話をしていた。『東海大学海洋学部(以下：東海大)はどうなんですか？』と言う私の問いに『東海大は良いチームだったよ。能力の高い選手がいて、昨日の試合でも静大相手に良いゲームをしていた。』と木宮監督。そして、その予想は的中した試合結果となった。
　平成16年度秋季静岡県学生バスケットボールリーグ戦(男子1部)、先週2連勝と好調なスタートを切ったランブラーズだが、昨日の東海大学海洋学部の試合は122対107と、まるで優勝戦線から離脱し消化ゲームをするNBAの点取り合戦を観戦しているようだった。
　ムードに乗った東海大は後半に入っても勢いが止まらず、20点差にしては10点差に戻るシーソーゲームを展開。試合が終了して木宮監督は『東海総合・インカレで同じことが起こらないように、この試合を反省して欲しい』とコメント。またキャプテンの村上は『全ての試合がインカレにつながっている。来週からは気持ちを入れかえよう』と話した。
　昨晩、家に戻りもう一度試合のビデオを見直した。具体的にどの部分を修正すべきかを考察してみた。とても大事な試合である東海総合・インカレに向けて、少しでも役に立てれば本望である。↓↓↓↓↓

1.　ペネトレーションは是か否か？
　昔、浜松大学バスケットボール部に所属していた外国人選手とバスケットについて酒を交わしながらよく議論したものだ。彼は全米ウィラメット大学でコーチをしていた経験を持つとてもユニークな選手で、モーションオフェンス理論を私に教えてくれた友人である。その彼がディフェンスに関していつも話す言葉は『No Penetoration(抜かれるな)！』・『ドライブをされるとオープンが生まれる』であった。つまり高確率(60～80％)なゴール下、そしてファールを誘発してしまうペイントエリアに相手を入れるよりかは、低確率(30～40％)な場所でショットを打たせるべきと、まさに確率論が好きなアメリカ人の発想である。
　強いディフェンスをするということは必要だが、ドライブがとても速い選手に対する必要以上のプレッシャーは、相手に容易なペネトレーション(完全に抜かれてしまい、相手の背中を見てしまうような状態)を成功させる。速度がついた相手に対するヘルプポジションのディフェンダーが、この選手をカバーすることはとても困難である(仮にカバーできたとしても、高確率なゴール下で、センターへのアシストパスを成功させてしまう)。
　またカバーダウンが成功したとしても、脚力・腕力があり視野の広いプレーヤー(特に男子はこれに当てはまると考えるが)は、ペリメーターエリアで待機するシューターにオープンなパス→3ポイントショットが発生するだろう。
　特に、相手がモーションオフェンスで攻撃している時は考慮が必要である。カバーダウンのディフェンダー(通常はウィークサイド側の2名)は責任の所在がはっきりとせず(ウィークサイド側でスクリーンをかけることの重要性はバスケットボールに携るスタッフなら誰しも反論はしないはずである)、必死にチームの為に自分のマークマンをディフェンスしている背後でヘルプポジションを怠ったと、ただスタッフとチームメイトから叱咤されることでストレスが溜まるであろう。昨日、東海大学の⑥・⑧・⑫プレーヤーのドライブは速く、またボールミートからそのままドライブするので、ディフェンスをするのに困難を極めた。
　相手にドリブルをさせて良い状態(仮に抜かれたとしてもヘルプサイドのディフェンダーが、容易にカバーディフェンスができる状態)とは、ドライブ速度が遅い状態で、尚且つ、相手とゴールを結んだ直線上への軌道を許していない時ではないだろうか。勿論、ディフェンス脚力の問題と言ってしまえば簡単だが、結果論のみで私はあまりこのようは表現は好きではない。

2.　リバウンドを制するものはゲームを制す
　昔ブームになった漫画【スラムダンク】で有名な言葉だが、定理は今も昔も変わらない。
　注目すべきはスタッツである。ご存知のように浜松大学バスケットボール部には高村・ジョッシュ・渡邊・岩井といった強力なインサイドがいる。この試合、浜松大学スタートメンバーの平均身長は184cm(怪我で欠場しているジョッシュがスタメンの場合は190cm)。対する東海大学は176cm。明らかにリバウンドは制することができるはずである。しかし、オフェンスリバウンドの数で浜松大学が11に対し東海大は13と負けているのである(⇒東海大のスタッツ)
　リバウンドをする時は、ショットされたボール(またはゴール)をただボ～と見るのではなく、自分のマークマンをボックスアウトすることが先決である(これは、先日の愛知学泉大学vs中京大学の時にも言ったことだが)。相手が飛び込む意思がないと判断した状態で今度は、背中で強烈に相手をボックスアウトしてからゴールを見る。また、インサイドプレーヤーだけに頼らず、5人全員がリバウンドを意識してプレーする。小学校の教科書にも書いてありそうなことで恐縮しているが、試合中・そしてビデオをもう一度観ても本学のプレーヤーの多くは毎試合、リバウンドの大切さを忘れているようだ。シュート確率が30～40％(つまり、10本中6本～8本はリングに弾かれる)の競技でリバウンド・ボックスアウトの重要性が理解できないのであれば、その選手はユニフォームを脱ぐべきである。

　入るか入らないか確定していないボールを無意味に凝視している
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　その背後から飛び込んでくるオフェンスに簡単なオフェンスリバウンドを取られる
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　背後から飛び込んでいるため、ディフェンスが遅れイージーショットを決められる。
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　イージーショットを決められるムードが悪くなる。
　　　↓
　ムードが悪くなるからオフェンスのリズムが狂う。
と【風が吹けば桶屋が儲かる】のような状態が発生している。
リバウンドでは、ゴールを見る必要は全くなく、むしろ自分のマークマンを徹底的にボックスアウトするべきである。そして自分の味方がゴールを空中でゲットした瞬間(もしくは100％ゲットしたと判断した瞬間)、自分のゴールに向かってファーストブレイクを展開すべきである。

3.　無くならないターンオーバー
　3年前、青木コーチから面白い話を聞いた。
【カレッジではボールはダイヤモンドと呼ぶらしい。せっかく苦労して相手から奪い取ったダイヤモンドを大切に扱い、つまらないミスで相手に渡してはいけない】
　まさに同感である。浜松大学のターンオーバー数はあまりにも多すぎるのである。
　浜松大学の年間平均ターンオーバーは
2000年：8.50　→　2001年：12.77　→　2002年：9.08　→　2003年：10.93
と4年間で10前後である。そして今回の東海大が7に対し浜松大学は17で、何と10本の差がある(⇒東海大学のスタッツ)。ターンオーバーの中には明らかに此方側のミスではないものも確かに含まれているが、大半はルーズな対応・判断・アクロバティックなパスから発生するターンオーバーである。もし時間があれば今年の試合結果の黒星ゲームのスタッツを見て頂きたい。負けた試合の多くはターンオーバー数が10以上と平均以上である(今年の西日本大会：大阪商業大学は何と32のターンオーバー)。
　強いチームだからターンオーバーが発生するのか、ターンオーバーが多いから強豪校なのかは【鶏が先か？卵が先か？】であるが、少なくても強豪校が集結するインカレでは、一つのターンオーバーが致命的なミスに発展するだろう。
　昨日の試合をボール所有の評価で分析すると、浜松大学が24.7％、東海大学が7.2％という数字が弾かれた。説明しておくが、この数字はシュート確率と違い、大きければ大きいほど悪いもので、ボールのロス率が高い、つまり、浜松大学は10回の攻撃回数中、約2.5回失敗する可能性があるという結果が出た。
　やはり結論としてはターンオーバーは許されるべきではないだろう。

　⇒東海大学海洋学部バスケットボール部のスタッツを分析する！
　⇒ボール所有の評価でゲームを分析する！
●Photo(左上)：インカレまであと1ヶ月を切ったランブラーズ